鍼灸専門学校での介護予防鍼灸師認定講座もありか!?
昨日、森ノ宮医療学園で行われた「近畿圏鍼灸マッサージ専門学校教員研修」にて「鍼灸師の介護領域への関わりについて」と題して講演をして来ました。
勿論、講演の殆どは平成30年度の介護保険制度改正の機能訓練指導員の話に終始しました。
これまで鍼灸師は介護保険の中では介護支援専門員となることしか出来ず、医療の末端を担いながら、法定外サービスとして、希望されるごく限られた方にのみ行われて来ましたが、この度の改正で鍼灸師も機能訓練指導員としてサービスを提供することができるようになりました。
鍼灸のことをよく知らない人、イメージで鍼灸は「痛い!、怖い、熱い」と思っておられる人にとってっは、「鍼灸師に機能訓練などできるのか」と疑問に思われる方も多いと思います。
鍼灸といっても、様々な方法があり、長い歴史の中で培われてきた技術は、日本固有のものとして、日常生活に密着した独自の発展を遂げてきた多種多様な方法があります。
鍼の太さも、中国で使われているものよりも遥かに細く、小児を中心に行なわれてきた刺さない鍼も有ります。大阪で生まれた小児はりは、関西圏を中心に発展してきましたが、この方法は、高齢者に応用して擦過鍼として施術すると、認知症にも有効であることが徐々に理解されるようになってきました。
施術後に気分が変わり、表情も豊かになることは、統計的な優位差(P<0.001)が示されており、気分を変える、意欲を向上させることができることが分かっています。
擦過鍼を実施することで、コミュニケーション能力がアップし、ウツの解消といった心のケアが出来ます。自然に出る言葉、自然に生まれる笑顔が何よりの証です。この部分に、はり師・きゅう師は活躍出来る余地が有ります。
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<参考>
【指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第92条】に通所介護について、以下のように示されています。
○要介護状態になった場合においても、その利用者が可 能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。
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今回の講座では、鍼灸師が機能訓練として何ができるのかについても話しましたが、平成27年の改正の時に、ICFに基づくリハビリテーションが提唱され、日常生活に生かされる機能回復の為のリハビリテーションの重要性を示されました。今回の改正では更に、機能訓練いついても同様に、日常生活で活動、参加ができるこを目標とした機能訓練が求められており、単に機能が回復するだけでなく、意欲を持ってできる事を増やし、日常的に自立してしている事を増やすのを目標とした自立支援型の機能訓練への加算と評価による維持、向上の加算が新たに創設されました。
「今回の改正は機能訓練強化型の改正だ」という人もあります。
これまでにない機能訓練の仕方をもっているはり師・きゅう師の機能訓練指導員は現場に変革をもたらすかもしれません。
熊本地震の震災ボランティアとして当初の鍼灸治療の後、サロン活動を実施してきた結果を見ても、機能訓練指導として鍼灸が役立つことは健康調査を通して見ても明らかです。
超高齢化社会をいち早く迎えた国日本に注目している海外の国々にとって、日本の介護保険の動向が他の国にも影響を与えていく事を考えると、はり師・きゅう師が機能訓練指導員として活躍していくことは、海外に向けての大きなアピールにも繋がります。
一昨年に筑波で開催された世界鍼灸学会(WFAS)では、海外の鍼灸師が日本の鍼灸を初めて知り、中国が主流であった海外の鍼灸に一石を投じ、日本の鍼灸を学びたいとういう国が出て来ています。
今年2月にベトナムで行われた「鍼灸国際医療セミナー」は、その要望に答える形で開催され、5年計画で国を挙げて取り入れていくことになりました。日本の厚労省、外務省、経済産業省に後援して頂いたことも大きな力になったようです。
ますます夢が膨らみます。
以上のような話をしていく中で、多くの質問があり、鍼灸学校としても、卒後の進路として、新たに機能訓練指導員になる道が増えることには大歓迎で、「その資格をとる為にはどうすればよいか」、「実際の機能訓練をどのように指導すれば良いのか」等具体的なものが多くありました。
30年度の『介護予防鍼灸師認定講習会』から機能訓練指導員の実践講座として、仕事ができる知識と技術を修得する為のカリキュラムに改訂します。
いくつかの専門学校の先生から、「在学中に機能訓練指導員として働ける知識と技術を教えることはできないか」との相談があり、教員、卒業生も含めて、学校とタイアップして講座を開催する事をご提案させて頂きました。
卒業までに介護予防鍼灸師のカリキュラムを修了し、免許取得時に認定証を発行します。
あとは機能訓練指導員になる為の要件を満たす研修ができる協力事業所を確保していくか、他の方法を考慮していきます。